3.労働保険の成立手続
3.1 成立手続等の方法
①一元適用事業
(1)労働保険の適用事業となったときは、まず労働保険の「保険関係成立届」を提出します。
提出先:所轄の労働基準監督署
提出期限:保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内
添付書類
法人の場合:商業登記簿謄本(3か月以内に発行されたもの)
個人の場合:事業主の住民票の写し(個人番号省略で3か月以内に発行されたもの)
なお、提出された「保険関係成立届」は事業主控えに受付印と労働保険番号が付されて返還されますが、この労働保険番号は手続をするたびに必要になります。また、事業主控えは「雇用保険適用事業所設置届」をハローワークに提出する際に添付します。
(2)その年度分の労働保険料(保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に保険料率を乗じて得た額)を概算保険料として「概算保険料申告書」により申告・納付します。
提出先:所轄の労働基準監督署もしくはハローワークまたは金融機関
提出期限:保険関係が成立した翌日から起算して50日以内
添付書類:なし
(3)雇用保険について、「雇用保険適用事業所設置届」及び「雇用保険被保険者資格取得届」を所轄のハローワークに提出します。
提出先:いずれも所轄のハローワーク
提出期限
「雇用保険適用事業所設置届」:設置の日の翌日から起算して10日以内
「雇用保険被保険者資格取得届」:資格取得の事実があった日の翌月10日まで
添付書類
「雇用保険適用事業所設置届」:ア.~ウ.の書類(各1点以上)及びエ.を添付
ア.事業主が確認できる書類
法人の場合:商業登記簿謄本(3か月以内に発行されたもの)
個人の場合:事業主の住民票の写し(個人番号省略で3か月以内に発行されたもの)
イ.事業所の実在を確認できる書類
自社または事業主所有家屋:不動産登記簿謄本または公共料金請求書・領収書
賃貸家屋:賃貸借契約書
※いずれも確認がとれない場合は、「法人成立届」または「個人事業開業届」、「事業税・法人税納税証明書」、最近事業所に届いた公共機関からの郵便物(消印入)等
ウ.事業実態が確認できる書類(下線部はそれぞれ一式)
認許可業:営業許可書、認可通知書等、認許可を得ていることが確認できる書類
認許可業以外:代理店契約書、業務請負契約書、原料買付・出荷・売上伝票、(事業内容が分かる)納品・請求・領収書 等事業活動が行なわれていることがわかる資料
エ.労働基準監督署に提出した「労働保険関係成立届」の控え
「雇用保険被保険者資格取得届」:おおむね次の書類が必要となる。
・労働者名簿
・出勤簿またはタイムカード
・賃金台帳
・雇用契約書・労働条件通知書等の雇用期間を確認できる書類
※なお、雇用保険に係る保険関係成立後に従業員を雇い入れて「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する場合は原則添付書類は不要
一元適用事業の場合の成立手続き(厚生労働省HPより抜粋)
②二元適用事業
ア.労災保険に係る手続き
(1)労災保険の適用事業となったときは、まず労災保険の「保険関係成立届」を提出します。
提出先・提出期限・添付書類等は、一元適用事業の労働保険の「保険関係成立届」と同じです。
(2)その年度分の労災保険料(保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に保険料率を乗じて得た額)を概算保険料として「概算保険料申告書」により申告・納付します。
提出先・提出期限・添付書類等は一元適用事業の労働保険の「概算保険料申告書」と同じです。
二元適用事業の場合の労災保険成立手続き(厚生労働省HPより抜粋)
イ.雇用保険に係る手続き
(1)雇用保険の適用事業となったときは、まず雇用保険の「保険関係成立届」を提出します。
提出先:所轄のハローワーク
提出期限:保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内
添付書類:一元適用事業の労働保険の保険関係成立届の添付書類と同じです。
(2)その年度分の雇用保険料(保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に保険料率を乗じて得た額)を概算保険料として「概算保険料申告書」により申告・納付します。
提出先・提出期限・添付書類等は一元適用事業の労働保険の「概算保険料申告書」と同じです。
(3)雇用保険について、「雇用保険適用事業所設置届」及び「雇用保険被保険者資格取得届」を所轄のハローワークに提出します。
提出先・提出期限・添付書類等は一元適用事業の「雇用保険適用事業所設置届」・「雇用保険被保険者資格取得届」と同じです。
二元適用事業の場合の雇用保険成立手続き(厚生労働省HPより抜粋)
3.2 成立手続きを怠った場合
成立手続を行うよう指導を受けたにもかかわらず、成立手続を行わない事業主に対しては、行政庁の職権による成立手続及び労働保険料の認定決定が行なわれます。その際は、遡って労働保険料が徴収されるほか、併せて追徴金も徴収されるます。
また、事業主が故意または重大な過失により労災保険に係る保険関係成立届を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合は、事業主から遡って労働保険料が徴収(併せて追徴金を徴収)されるほかに、労災保険給付に要した費用の全部または一部が徴収されることになっています。
3.3 成立手続の書類の作成方法
①保険関係成立届
(1)保険関係成立届の書式
用紙は労働基準監督署で入手します。一元適用事業、二元適用事業(雇用保険に係る保険関係成立届・労災保険に係る保険関係成立届)ともに同じ書式を利用します。
(2)保険関係成立届の記入例
※なお、有期事業の場合は種別「31601」としますが、一括有期事業は法律上定められている有期事業の一括の要件をすべて満たす場合には、ひとつの保険年度中に行われる2つ以上の小規模の有期事業を法律上、当然、かつ、強制的に一括し、ひとつの事業とみなしてひとつの労災保険関係を成立させ、継続事業と同じように取り扱うという制度ですので、種別「31600」となります。
(一元適用事業)
(二元適用事業の労災保険に係る保険関係成立届)
(二元適用事業の雇用保険に係る保険関係成立届)
②概算保険料申告書
(1)概算保険料申告書の書式
用紙は労働基準監督署で入手します。一元適用事業、二元適用事業(雇用保険に係る概算保険料申告書・労災保険に係る概算保険料申告書)ともに同じ書式を利用します。
(2)概算保険料申告書の記入例
(一元適用事業)
(二元適用事業の雇用保険に係る概算保険料申告書)
※労災保険については、労災保険の欄に記入すればよい。
③雇用保険適用事業所設置届
(1)雇用保険適用事業所設置届の書式
ハローワークインターネットサービス「雇用保険適用事業所設置届」にて、何も記載していない書式のみをプリントアウトすることも、またweb上で記載内容を入力してプリントアウトすることもできるようになっています。
また、記載方法についても「利用上の注意」欄に記載されています。
(雇用保険適用事業所設置届の書式)
(2)雇用保険適用事業所設置届の記入例
※なお、ハローワークインターネットサービスによりweb上で入力してプリントアウトしても、裏面の地図等は手書きで記入する必要があります。
④雇用保険被保険者資格取得届
(1)雇用保険被保険者資格取得届の書式
ハローワークインターネットサービス「雇用保険被保険者資格取得届」にて、何も記載していない書式のみをプリントアウトすることも、またweb上で記載内容を入力してプリントアウトすることもできるようになっています。
また、記載方法についても「利用上の注意」欄に記載されています。
(2)マイナンバー(個人番号)の記入
平成30年5月以降、雇用保険手続の届け等でマイナンバー(個人番号が必要な届出等にマイナンバーの記載・添付がない場合には、返戻し対応が取られています。従って、原則として雇用保険被保険者資格取得届にもマイナンバーを記載する必要があります。(詳細は、当HP「雇用保険手続において必要なマイナンバーの届出がなされない場合の取扱いについて」をご確認ください。)
(3)雇用保険被保険者資格取得届の記入例
※なお、マイナンバーはweb入力ではなく、プリントアウトした後に手書きで書き込みます。
※雇用保険に加入したことがある人は、既に雇用保険被保険者番号が振られていますので、以前の番号を記入することで、ハローワーク内での記録が1つにまとめられます。ただし、以前の資格喪失日から7年以上経過している場合は、情報が削除されているため、新規加入と同じ扱いになります。また、7年以内に資格喪失日して雇用保険被保険者番号がわからない場合は、備考欄に前職名や在籍期間等記入します。(なお、今後マイナンバーの利用が定着すればマイナンバーと雇用保険被保険者番号がひも付けられるかと思います。)
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