人事労務の用語

トップ>人事労務の用語



基本用語

社会保険(広義)

健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険及び労災保険の総称。


社会保険(狭義)

社会保険(広義)のうち、健康保険、厚生年金および介護保険のこと。


労働保険

社会保険(広義)のうち、雇用保険及び労災保険のこと。


公保険

国や地方公共団体が社会政策や経済政策など政策上行う営まれる保険


私保険

国や地方公共団体によって政策営まれる保険ではなく、国民個人が任意で加入する保険。生命保険や損害保険等、目的に応じた多種多様な保険がある。


労働者

労働基準法では、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義され、労働契約法では「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」と定義される。


使用者

労働基準法では、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」と定義され、労働契約法では「使用する労働者に対して賃金を支払う者」と定義される。


就業規則

労働者の就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について労働基準法に基づいて定められた規則のことをいう。使用者が定めるものであるが、就業規則の作成又は変更については、事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。なお、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、従業員代表の意見書とともに労働基準監督署に届け出なければならない。


賃金規程

就業規則の記載事項のうち、賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項等について、就業規則から切り離して別途定めた規程のこと。就業規則の中で定めても良いが、別途定める会社が多く、「給与規程」と名付けられることもある(労働基準監督署等の監督調査の際に事前に用意するよう指定される書類に「就業規則」と「賃金規程」があるが、「就業規則」の中で賃金の決定等について定めてあり、「賃金規程」を別途定めていない場合は「就業規則」のみを用意すればよい)。なお、就業規則の一部をなすものなので、賃金規程のみを作成・変更した場合であっても、就業規則と同様に労働基準署に届け出る必要がある。賃金規程と同様に「就業規則」から切り離して別途定めることが多い規程として、「パートタイマー就業規則」「退職金規程」「育児・介護休業規程」「出張旅費規程」などがある。


労使協定

事業場における労働者の過半数代表と締結する協定のことをいう。労働者の過半数代表とは、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者をいう。


労働組合(ユニオン)

原則として、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。日本では企業ごとに労働組合が組織されるケースが多くあったが、近年、その組織率は低下し、個人が個別に加入できるような組合が増加している。ユニオンともいう。


パートタイマー

1週間の所定労働時間が正社員の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者のことを指す。一般的には労働時間のほか、補助的業務を行う時給者を指す傾向が見られる。法律上は、「短時間労働者」と位置づけられている。


フルタイムパート

1週間の所定労働時間が正社員と同じ労働者で、補助的業務を行う時給者を指す傾向が見られる。法律上の「短時間労働者」には含まれない。


アルバイト

一般的には1週間の所定労働時間が正社員の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者で、本業とは別に臨時的収入を求めて働く労労働者のことを指す。


ワークライフバランス

「仕事と生活の調和」のこと。「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」をワークライフバランスが実現した社会で、具体的には、①就労による経済的自立が可能な社会、②健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、③多様な働き方・生き方が選択できる社会とされています。


労働条件通知書

労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示した書面。明示する事項は口頭でもよいものと必ず書面によらなければならないものとある。


雇用契約書

労働条件の内容を契約書として書面にしたもの。労働契約は口頭でも成立するが、後々のトラブルを防止するために、労働条件を書面にして労使双方で確認することは近年、重要なことになっている。


身元保証人

労働者が業務上のミスや不正により会社に損害を与えたとき、労働者と連帯して責任を負う人のことを指す。入社時に身元保証人が署名・捺印した身元保証書を提出させるケースも多く見受けられる。


転籍(在籍出向)

労働者を別の会社に異動させ、かつ、籍まで移す(出向元との労働契約を解消する)ことである。出向者が定年間近であったり子会社の資本関係変更などのケースでは、出向者がそのまま出向先に転籍するケースも珍しくない。在籍出向の場合と異なり、判例では、「命令時に転籍者の個別的な同意を得る必要があり、就業規則や労働協約に出向を命じうる旨の規定があったとしても、これを根拠に転籍を命じることはできない」とされる。


出向(在籍出向)

出向とは、一時的ないしは定年まで別の会社や団体に異動(配置転換)を行う形態である。出向元との労働契約を結んだまま出向先との間にも労働契約関係が成立し、出向先の指揮命令を受けて労働に従事する。判例では、就業規則や労働協約に出向を命じうる旨の規定があり、出向によって賃金・退職金その他労働条件の面での不利益が生じないように制度が整備され、出向が実質的に見て配転と同視されるような場合には、労働者の個別的同意がなくとも出向を命じることができる、とされる。なお労働契約法14条は使用者が出向を命ずる権利がある場合であっても濫用である場合には無効とする規定をおいている。



解雇

労働者の合意なく、使用者の一方的な意思表示により雇用契約を解約すること。労働契約法第16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されている。


整理解雇

業績の低迷など企業経営上、一定の人員削減が必要なときに行われる解雇のこと。原則として、①人員整理の必要性、②解雇回避努力義務の履行、③被解雇者選定の合理性、④手続きの妥当性、という整理解雇の4要件(4要素)を満たすことが必要とされている。


懲戒解雇

労働者が企業内秩序を乱したときに、就業規則上のもっとも重い懲戒処分として行われる解雇のこと。懲戒解雇の場合は即時に解雇し、退職金の全部または一部が不支給とされる例が多い。なお解雇予告、もしくは解雇予告手当を支払うことなく即時解雇するためには、所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定許可を申請し、その認定を受けなければならない。


解雇予告

使用者は労働者を解雇しようとする場合は、原則として少なくとも30日前に予告をしなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合や労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合は、労働基準監督署長の認定を受けることにより、予告は免除される。


雇止め

有期労働契約の労働者の契約満了時に、契約更新を行わずに契約を終了すること。有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準においては、使用者は、有期労働契約の締結に際しては、更新の有無と判断の基準を、明示しなければならないとしている。


無期転換申込権

平成25年4月1日以降に締結する有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に、労働者が使用者に対して無期労働契約への転換を申し込むことができる権利


振替休日

事前に労働日と休日を振替える休日のこと。これにより振替える休日が法定(所定)休日であった場合でも労働日になるため法定(所定)休日割増賃金の支払いが不要になる。


代休

休日に労働させた代償措置として、事後に別の労働日に与える休日のこと。代休を与えても法定(所定)休日に働かせた事実に変わりはないため、法定(所定)休日割増賃金の支払いが必要となる。


是正勧告書

労働基準監督官が事業場に対し監督調査等を行い、労働関係法令違反があった場合に企業に対し交付する文書。是正事項と是正期日が記載されているため、事業場は是正期日までに指摘された違反箇所を是正し、報告しなければならない。


指導票

労働基準監督官が事業場に対し監督調査等を行い、労働関係法令に明確な違反があるわけではないものの、労働関係法令の趣旨に照らして改善した方が望ましいと思われる事項、後々労働関連法令の違反に繋がる可能性がある事項を改善すべき旨記載し、交付する文書。改善報告書の提出を求められることが多い。


36協定

正式には、「時間外労働・休日労働に関する協定」という。根拠規定が労働基準法第36条にあるため、一般的には「36協定」と呼ばれている。この36協定を締結し労働基準監督署に届け出ることにより、法定労働時間を超えてまたは、法定休日に働かせても労働基準法違反にはならないとする効果を持つ。但し、「時間外労働の限度に関する基準」という告示が出されており、延長時間の限度が設けられている。


労働時間

一般的に労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指す。


時間外労働(残業)

一般的には所定労働時間を超えて労働する時間をいう。時間外労働には、労働基準法第32条で定める法定労働時間を超えて労働する時間外労働と、所定労働時間を超え、法定労働時間内で労働する時間外労働の2種類に分けて把握されることがある。前者を法定外労働、後者を所定外労働や法定内残業等と呼ぶことがある。


休憩時間

労働者が使用者の指揮命令から解放され、自由に利用できる時間のことをいう。使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては45分以上を、8時間を超える場合には60分以上を労働時間の途中に与える必要がある。


拘束時間

始業時間から終業時間までの時間のことをいう。労働時間と休憩時間の合計が拘束時間となる。


深夜

原則として午後10時から午前5時までの時間をいう。この時間帯に労働させた場合においては、法定の深夜割増賃金(2割5分)を支払わなければならない。また、原則として年少者、請求をした妊産婦には深夜労働をさせてはならないことになっている。


賃金

賃金、給料、手当、賞与その他名称を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。賃金の支払方法については、5つの原則(①通貨払いの原則、②直接払い原則、③全額払いの原則、④毎月1回以上払いの原則、⑤一定期日払いの原則)があり、また都道府県別に最低賃金が定められているため、賃金を支給する際にはその金額以上に設定する必要がある。


休日

雇用契約上、労働者が使用者から労働を免除され、働く義務のない日のことをいう。労働基準法において、使用者は1週間に少なくとも1日の休日(法定休日)を与えなければならないとされている。ただし、例外として4週間を通じ4日以上の休日を与えることも認められている。また法定休日に労働させた場合には原則として割増賃金の支払いが必要となる。


産前休業

6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産予定のある女性労働者が、本人の希望により取得できる休業。使用者は女性労働者から請求があれば、産前休業を与えなければならない。


産後休業

産後8週間を経過しない女性労働者に取得させなければならない休業。この期間の就業は原則として禁止されているが、産後6週間を経過した女性労働者が就業を希望し、医師が母体に支障を及ぼさないと認めた場合には、例外的に就業させることができる。


健康診断

疾病の予防や早期発見を目的とした医師による診療・検査であり、労働安全衛生法において使用者が労働者に対し実施しなければならないもの。健康診断には、年に1回以上の実施が必要な定期健康診断や有害業務に従事する者に実施する特殊健康診断など様々な種類がある。近年は企業に安全配慮義務が強く求められるようになっていることから、健康診断の重要性は非常に高くなっている。


労働法

労働に関係する法律の総称であり、労働基準法、労働契約法、最低賃金法及び労働安全衛生法などが含まれる。なお、日本では労働法という名称の個別の法律は存在しない。


助成金

国及び地方自治体が雇用・労働環境の改善や研究開発費の補助等を目的として事業者に交付する返済の必要がない資金。雇用関係(主に厚生労働省)と研究開発関係(主に経済産業省)に大別され、雇用関係は一定の条件を満たせば申請により認定され受給できる可能性が高いが、研究開発関係は他の申請者との比較により選ばれないと認定されない。なお、研究開発関係の助成金は補助金とも呼ばれる。


補助金

国(主に経済産業省)及び地方自治体が経済・地域の活性化等を目的として事業者に交付する


人事労務に関連する主な法律

労働基準法

労働者の労働条件について最低基準を定めた法律のこと。使用者と労働者は、形式上、賃金や労働時間などの労働条件について、対等平等な立場において契約を結ぶことができることになっている。しかし実際には、使用者がはるかに有利な立場にあり、両者の自由に任せ、この状況を看過すれば、労働者は劣悪な労働条件を強いられることになると考えられたことから、労働者を保護するために、民法上の雇用契約について一定の制限が設けられた。なお、この法律は、労働者を使用するすべての事業または事業所に適用される。


労働契約法

労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的として作られた法律。


労働安全衛生法

職場における労働者の安全と健康を確保することと、快適な作業環境づくりの促進することを目的とした法律のこと。この目的達成のために、労働災害を防止する様々な基準を定め、責任体制の明確化、自主的活動の促進など、総合的計画的な対策を推進している。衛生管理者、産業医などの各種責任者の選任義務や健康診断の実施義務、機械・有害物の規制などがこの法律に定めがある。


労働者災害補償保険法(労災保険法)

業務中または通勤途上に災害に遭い、労働者が負傷し、疾病にかかり、障害が残り、または死亡した場合などに、被災労働者またはその遺族に、保険給付を行うことで労働者やその遺族の福祉の増進に寄与することを主な目的とした法律のこと。業務上の災害(業務災害)については、労働基準法に基づき、使用者がその補償をしなければならないが、労働者が確実に補償を受けられるよう、また、事業主の補償負担軽減のために、この法律が設けられている。この法律は、原則として労働者を使用するすべての事業に適用される。なお、給付の対象は、適用事業に使用されているすべての労働者である。


雇用保険法

労働者が失業し求職を行う場合の基本手当の支給などが定められた、労働者の生活および雇用の安定を図ることを目的とする法律のこと。雇用保険には、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付などを行う失業等給付と、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るために行なわれる雇用安定事業がある。被保険者資格の取得対象となる労働者を1人でも使用すれば、原則、適用事業場として、この法律の適用を受ける。


労働保険の保険料の徴収等に関する法律

労働保険の事業の効率的な運営を図るために、労働保険の保険関係の成立および消滅、労働保険料の納付の手続、労働保険事務組合などに関する事項が定められた法律のこと。労働保険の保険料は、4月1日から翌年3月31日までを1年度とし、年度当初に概算で申告・納付し、翌年度に確定額を申告の上、精算することになっている。


健康保険法

被保険者及び被扶養者の業務外の事由による疾病、負傷、死亡、出産について保険給付を行うことで、国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とした法律のこと。労災保険が労働者の業務中の災害についての補償をしていることに対し、健康保険は業務外の事由が補償の対象となる。


国民年金法

老齢、障害、死亡により国民生活の安定が損なわれることについて、基本的には年金給付を行うことで、健全な国民生活の維持および向上に寄与することを目的とする法律のこと。被保険者は、自営業者、学生などが属する第一号被保険者、企業に勤め被用者年金制度に加入するサラリーマンが属する第二号被保険者、第二号被保険者に扶養される配偶者が属する第三号被保険者の3つに分類される。国民年金のいずれかの被保険者には必ず該当することになるため、国民皆年金となっている。


厚生年金保険法

被保険者の老齢、障害、死亡について、基本的には年金給付を行うことで、被保険者またはその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする法律のこと。年金はよく建物に例えられるが、国民年金が年金の1階部分とすれば、厚生年金保険は、いわゆるサラリーマンに適用される2階建て部分である。


次世代育成支援対策推進法

社会問題となっている急速な少子化の進行の対策を主に盛り込んだ法律。平成15年7月に成立・施行された。地方公共団体や事業主等に行動計画の策定をはじめとした次世代育成支援対策の推進の責務を明らかにしている。この法に基づき、一定数以上の従業員を雇用している企業は一般事業主行動計画を策定し、取組みを行わなければならない。


会社法関係の用語

謄本・登記簿謄本

「登記事項証明書」のこと。会社(株式会社・有限会社・その他の法人等)情報が登記された「法人登記」だけでなく、不動産登記簿謄本もあるが、人事労務で利用するのは法人登記である。「履歴事項全部証明書」(以前の変更登記の登記事項の履歴も入る)、「現在事項証明書」(現在効力がある登記事項のみの)、「代表者事項証明書」(代表者に関する内容のみの)及び「閉鎖事項証明書」(消滅した会社や本店移転により管轄法務局に変更があった場合)があるが、「履歴事項全部証明書」には「現在事項証明書」と「代表者事項証明書」の内容が記載されているため、「謄本を添付」といった場合は「履歴事項全部証明書」を取り寄せればまず問題無い。なお、合併や解散などにより会社が消滅した場合は「閉鎖事項証明書」しか取得できない。全国どこの会社の謄本であっても、原則として全ての法務局で取得できるし、誰でも取得できる。(株式会社や有限会社など法人を名乗る団体で登記されていないものは存在しない)


定款

定款(ていかん)とは、社団法人(会社・公益法人・協同組合等)および財団法人の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについて定めた基本規則。定款の無い会社は存在しない。


取締役

すべての株式会社及び有限会社に必ず置かなければならない機関である。取締役会非設置会社においては、対内的に会社の業務執行を行い、対外的に会社を代表するものであり、取締役会設置会社においては、会社の業務執行の決定機関である取締役会の構成員である。なお、取締役会非設置会社と有限会社の場合は代表取締役を置いておらず、代表者の肩書きが「取締役」である場合がある。また、取締役の氏名は必ず謄本に記載されている(有限会社なら住所も)。


代表取締役

株式会社または有限会社を代表する権限(代表権)を有する取締役をいう。なお、有限会社や取締役会非設置会社では代表取締役を置かないことがあるが、この場合は原則として各取締役が代表取締役と同じ権限を有する。また、取締役会設置会社でも複数の代表取締役が選定されることがある。代表取締役の氏名・住所は必ず謄本に記載されている。


役付取締役

社長や会長、副社長、専務、常務等の肩書きを有する取締役、いわゆる役付取締役は代表権を持つ(つまり代表取締役である)ことが多い。しかし、これらの役職名は法律上に規定されたものではなく、必ずしも代表取締役であるとは限らない。特に常務については代表取締役でない場合も多い(ただし、表見代表取締役に当たりうる)。会長についても代表権がある場合と代表権がない(名誉職としての会長)場合とがある。また極めて稀であるが社長に代表権がない場合(取締役社長)もある。


表見代表取締役

表見代表取締役とは、代表取締役でない取締役に、社長、副社長その他代表権を持つと誤解されるような肩書を与えた場合、その取締役の行為は、代表権がないことを知らなかった第三者(善意の第三者)に対しては代表権があったものとして扱われ、会社は責任を負うことになるというものである(354条、旧商法262条)。これにより、相手に会社を代表する権限があると信じて取引をした者が保護され、取引の安全が図られる。


企業組織再編

企業組織再編とは、効率的な事業運営や事業部門拡大等を目的として行われ、企業の組織を編成しなすこと。組織変更、吸収合併、新設合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転及び事業譲渡がある。


組織変更

株式会社が合名会社・合資会社・合同会社となること、またはその逆方向の変更による法人形態の変更。なお、有限会社は株式会社・合名会社・合資会社もしくは合同会社に組織変更することができるが、その逆はできない。


吸収合併

吸収合併とは、合併後に存続する会社(存続会社)に対して合併により消滅する会社(消滅会社)の権利義務の一切を承継させる合併をいう。労働契約も消滅会社と同一の労働条件で存続会社に承継されるため、労働者は本人の同意無しに、自動的に存続会社に転籍することとなる。なお、合併後に労働条件が統一されることが多い。


新設合併

新設合併とは、合併を行う全当事者が消滅する会社(消滅会社)となり新たに成立した会社(設立会社)に権利義務の一切を承継させることをいう。吸収合併の存続会社が新たに設立する会社となるだけで、労働契約も消滅会社と同一の労働条件で設立会社に承継されるため、労働者は本人の同意無しに、自動的に存続会社に転籍することとなる。なお、合併後に労働条件が統一されることが多い。


吸収分割

吸収分割とは、既存の会社(分割会社)がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割して、他の既存の会社(承継会社)に承継させる会社分割をいう。労働契約については、労働契約承継法に従って承継もしくは不承継となるが、承継される事業に「主として従事する労働者」と「そうでない労働者」によって取り扱いが異なる。「主として従事する労働者」は、分割契約等に、承継される労働者として記載されている場合、本人の同意無しに承継会社に承継され、逆に、分割契約等に記載されていない場合、異議申立をしない限り、分割会社に残ることとなる。逆に、「そうでない労働者」は、分割契約等に承継される労働者として記載されている場合、異議申立しないと承継会社に承継される。逆に、記載されていない場合には、本人の意思にかかわらず、分割会社に残ることとなる。なお、労働条件は原則として同一の労働条件で承継会社に承継される。


新設分割

既存の会社(分割会社)がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社(新設会社)に承継させる会社分割をいう。なお、会社法では分割会社に対価として、新設会社の株式を交付する物的分割のみが規定されている(分割会社が1つであれば新設会社は分割会社の子会社となる)が、分割の効力発生日に分割会社の株式を株主に現物配当することにより、人的分割と同等の結果を生じさせることができる(分割会社に親会社があれば、新設会社は分割会社の兄弟会社となる)。労働契約については、吸収分割と同様に、労働契約承継法に従って承継もしくは不承継となるが、承継される事業に「主として従事する労働者」と「そうでない労働者」によって取り扱いが異なる。「主として従事する労働者」は、分割契約等に、承継される労働者として記載されている場合、本人の同意無しに新設会社に承継され、逆に、分割契約等に記載されていない場合、異議申立をしない限り、分割会社に残ることとなる。逆に、「そうでない労働者」は、分割契約等に承継される労働者として記載されている場合、異議申立しないと新設会社に承継される。逆に、記載されていない場合には、本人の意思にかかわらず、分割会社に残ることとなる。なお、労働条件は原則として同一の労働条件で新設会社に承継される。